昔はピアノをやっていました。
週一で個人の教室に通っていました。
中学校とかでは休み時間に弾いたりすると、
自分が思っている以上にまわりが驚いているのが不思議でした。
高校にあがっても自分にはピアノがあるんだと
勉強をやってるやつらより価値のあることをしていると勝手に思っていました。
高校当時は映画「海の上のピアニスト」に感化され、
少しでもうまくなるように、
自分なりの練習法を確立し、
ヘッドフォンつきのピアノも買ってもらい、
受験期でも一日6時間とか練習していました。
ショパン・バッハ・リスト…
次々に難解な曲に挑んでいました。
海の上のピアニストのように沸かせる事が出来たら…
俺にはピアノがあるんだ…
ピアノ教室に通った人なら分かると思いますが、
30分ずつとか1時間ずつで
次の人に交代するのです。
自分の時間の次に、別の人のスケジュールが入っている場合
帰る支度に手間取っている間にも
次の人のレッスンが始まるのです。
いざ自分が帰ろうとしたとき、
年下の中学生の女の子がブルグミュラーのやさしい花を弾いたのです。
とてつもない衝撃でした。
とてつもなく感動しました。
素直に、「いつまででも聴いていたい」と思ったのですが、
変に教室に残るわけにもいかず。
感動といっても、感動して泣くとかいうものでは無く、
全身をすさまじい強風が通り過ぎて行ったような。
全身をすさまじいエネルギーが通り過ぎて行ったような。
やさしい花。
世間であふれているような感動する旋律・曲でも無く、
練習曲ですからね。
その日あたりから、何事も
「どうだ凄いだろう」などという気持ちでやってはいけないものだと思いました。
これはピアノに限ったことでは無く、
これをやったら喜んでくれるだろうとか、
感動させられるだろうとか、稼げるだろうとか、凄いだろうとか
そんな事では駄目だと。
「自分がやりたい」「表現したい」ということに
注力すること。
その結果、降格しようと評価があがろうと
軽蔑されようと尊敬されようと、関係のないこと。